グルメ: 2008年1月アーカイブ

「あれから、もう一年か・・・。」

店内を忙しなく動く影を視界の端に捉えながら、私は呟いた。
小さく溜息を吐き、手元にある資料に目を落とす。

「ココイチの原点です!グランド・マザー・カレー」

そう。あれは去年の冬。
たまたま行ったココイチで食べたグランド・マザー・カレー。
そして奇しくも手に入れた、二本のスプーン。
あの頃から、私のカレー好きは変わっていない。
日本が印度になればいいと願った幼少時代。
あれから変わらず、私はこの一年間もカレーを愛し続けた。

そんな私に四季は巡り、またこの季節がやって来たのだ。
去年と同じグランド・マザー・カレーを豚トロトッピングで注文する。
去年と同じ様に、店員は抽選の箱を持って来る。
そう、今年もスプーンが当たるのだ。

つまらぬ幸運はやって来る筈もなく、「残念 ハズレです」と書かれた紙を手元に置き、カレーが運ばれて来るのを待つ私。
どうやら、去年まで持ち合わせていた幸せの欠片はどこかへ置き忘れて来てしまったようだ。

やがて私の元にグランド・マザー・カレーが運ばれて来る。
ルーを白米にまぶし、一口目をジャガイモと共に口に運ぶ。




熱い。






熱いのだ。








尋常ではない熱さだ。
手荒い歓迎である。
心とは裏腹に慌てた素振りは見せず、コップの水を一口飲む。
さりげない笑顔をこぼしながら、緩んだ涙腺が視界を滲ませる。




やがて完食し会計を済ませた私は早々に店を後にする。






「ありがとう、また来るよ。」






そう呟く口の中には、水ぶくれが出来ていた。
















アメリカだったら、訴訟されてもおかしくないな・・・。




















そう考えながら、私の夜は益々更けて行くばかりなのであった。












(第43回 全日本カレー協同組合連合会主催「カレーと私」作文大会優秀賞受賞作品)


ウソ

あぁ。
また、この季節がやって来たのか--。




車のハンドルを握る私の視界に入って来る、懐かしさを携えた風景。
その思い出はワイパーでかき分けた向こう側に映り、水を落とした水彩画の様にゆっくりと滲んで行く。
私は軽い溜め息をつき、それからゆっくりとブレーキを踏んだ。




「ココイチ原点の味、再現。グランド・マザー・カレー。」




私はこの季節になると、何故か吸い寄せられる様にここにやって来てしまう。
まるで祖母の面影を追うかの様に、だ。
日本が印度になればいいと願った幼少時代。
私は相も変わらず、カレーを愛し続けている。
祖母は、健在だ。


店内に入り、おもむろに席に着く。
飲食店ではまずはここに注意しなくてはいけない。
素人と思われてしまったら、受けられる筈のサービスさえ受けられなくなる可能性がある。
百戦錬磨の手練であるこの私は当然注文に悩む事なく、迅速かつ正確に決断する。
そして冷静かつ大胆に、ボーイに声をかける。
するとその男は、足早に私の元へやって来た。


















「いいいらっしゃいませごごごちゅもんをどぞ」














滑舌が、悪い。
そして、早口。
だが、その姿さえも受け入れてこその真の男である。
私は単純かつ明快に注文を伝えた。






















「ごごごごちゅもくいかしまぐあまかかかかえーよんひゃぐらかかかにくりーろっとぴいじょでよしでか」




















彼が注文を繰り返す意味は、全くなかった。




ちなみに私が注文をしたのは、グランド・マザー・カレー400gにカニクリームコロッケトッピングである。




果たして、この店に私の全てを委ねていいのだろうか?
些か不安になり店内を見渡してみる。
改めて見てみると、様々な従業員がいる。


離婚歴ありのシングルマザー風


研修中の新人学生風


元ひきこもり風など


枚挙に暇がない。






否、従業員ばかりではない。来客も全く同じである。


単身赴任のお父さん風


デート中のカップル風


仕事帰りの労働者風


等々。


その人々が偶然、この日この時間にこの店に集う。


ここはまさに、人間交差点(ヒューマン・スクランブル)だ。


そしてそれぞれの人生の色が溶けて混じり合い、その時にしか出来ない化学変化(ケミストリー)を起こすのだ。
















嗚呼。


これは、正にカレーではないか。
















カレーを食べに来たにも関わらず、自身の人生もまたひとつのスパイスであると気付かされたのだ。










実に奥深き哉、カレー道。














私はまだまだ、カレーに教わる事が多い様だ。














(第44回 全日本カレー協同組合連合会主催「カレーと私」作文大会優秀賞受賞作品)

ウソ

こんばんは。

webの三代目管理人muchico氏のご尽力により、遂にトップのプロフィールに写真が表示されました。
ありがたいありがたい。
ちなみに写真はイメージです。

ぼちぼち、新曲のイメージが浮かんで来ました。
浮かんでは消えてしまったりする事も多々あります。
残念ですね。
覚えてろって話です。


今夜はラーメンが食べたいですね!
 

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